COLUMN
コラム
帰国子女受験って楽そう?
「帰国子女受験って、英語とエッセイだけだから、一般受験よりも楽そうだよね!」
そんな風に考えている方も多いのではないでしょうか?
帰国子女受験は確かに学科試験はありませんが、実際はとても狭き門。私はその現実を思い知りました。
10年とか長い月日を親の駐在で海外に暮らしていたネイティブスピーカー並みの帰国子女たちと同等に英語力を比べられるのが帰国子女受験なのです。
帰国子女受験は、通常2年間の海外留学をしていた生徒であれば受験することが可能です。
私自身、アメリカの高校留学中から、日本の大学受験を目指して帰国子女受験をしましたが、最初の受験はすべて「不合格」。
挫折と苦労の連続で、涙する日もありました。
しかし、帰国後も諦めずに粘り続けた結果、帰国子女枠で「合格」を勝ち取りました。
2025年の4月からは晴れて日本の大学へ進学します。
日本の大学を選んだ背景を始め、留学中の受験勉強、帰国後の猛勉強を経て合格通知を手にするまでのロードマップをお話します。
これから高校留学を目指したい人や、現在留学中で、日本の大学かアメリカの大学か進学を迷っている人には、役立つ内容になっているので、ぜひご覧ください。
日本の大学に決めた理由は「家族」と「進路」
アメリカの大学に進学を決めていく友達が多い中、私は日本の大学を選択しました。
それには、大きくわけて2️つの理由がありました。
1つは「家族との時間を大切にしたかった」ことです。
2️年間、親元を離れて留学させてもらいましたが、離れて暮らしていたからこそ、自分にとって家族がどれだけ大切なのかが身に染みました。
私は家族が大好きで、夏休みなどの長期休暇で帰国するたびに、心と体がほっと温まるんです。
卒業後の進路の選択に迫られたときに「家族と一緒にいたい」という気持ちが強くあり、日本の大学への進学を決めました。
もう1つの理由は、私の夢や進路のためです。
私は将来、日本の医療に関わる仕事をしたいと思っています。
そのためには、まず自国である日本をよく知ること、そして日本の医療をよく知ることから始まると考えました。
もっと世界を知りたい気持ちもありますし、大学在学中の留学も考えていますが、一旦は日本の大学を受験することを決めました。
帰国子女受験の勉強を始めたのは高3になってから
日本の帰国子女受験では基本的に
・共通テストのスコア(SAT/ACTなど)
・英語試験のスコア(TOEFL/IELTSなど)
・エッセイ
・志望理由書
の4つが必要です。
当時、まわりの友達はみんなアメリカの大学を希望していて、日本の大学を受験することを決めたのは私だけでした。
留学を始めたのは高2
私は日本にいた頃は英語はコツコツ勉強していた方だと思います。中学生の頃は準1級を目指して合格するまで何度トライしたことでしょう。途中からは自分のお小遣いで受験料を払うように、と言われたのでますます追い込まれました。笑
でも中学生のうちに合格したいと心に決めていたので、中3の1月に無事に合格した時はホッとしました。
高1の冬にアメリカに留学をしたいと思って、高2で留学を始めました。現地での授業はついていくのが大変で、宿題や中間、期末テストの勉強で日々追われていました。正直、英語の資格試験(TOEFLやIELTS)の勉強にまで手が回らなかったのは学校の勉強と寮生活、課外活動、部活で精いっぱいだったからです。アメリカでの寮生活は忙しくも充実していました。
1年の留学が終わって初めての夏休みは思わずのんびり、ゆっくり久しぶりの日本を味わいながら、資格試験のことなど忘れて、楽しく過ごしてしまったのです。高3を送るためにアメリカに戻ったら、現実が待っていました。アメリカ人の友達は12月の出願に向けて動き出していました。
アメリカに進学する友達との間に心の壁が・・・
アメリカの大学と日本の大学では、受験時期が異なります。
私が日本の大学への進学を決めてSATやTOEFLの英語試験の勉強を始めたころ、アメリカの大学を目指していた友達は、すでに共通試験(SAT/ACT)を終えて、エッセイの書き方の勉強を始めていました。
また、アメリカの大学のほうが合否の決定がはやく、周りがどんどん受験を終えて祝杯ムードに。
その間も私は必死にスコア獲得のために猛勉強し、何度もテストを受験しにいきました。
その頃の私は、TOEFLのスコアがなかなか上がらなくて、同じテキストを何度も何度も勉強しなおしていました。
周りの友達にとっては英語試験なんてとうの昔に終えていたため、「まだそんな勉強してるの?」という視線を感じました。
仲の良かった友達にも「もっと効率よく勉強したら?」と言われて「そんな簡単じゃないんだよ!」と心の中で叫んで、とても悔しかったのを覚えています。
「受験」と「思い出づくり」の葛藤!バランスを整えてくれたのは?
次々に大学申請を終えていくアメリカ人や寮の友達は、高校生活最後の時間を楽しく遊んで過ごしていました。
私も色々な誘いをもらいましたが、受験のことを考えたら行けるはずもなく、週末のほとんどは寮の部屋で机に向かう日々。
「高3で最後の学年。みんなと一緒に思い出を作りたい!」との葛藤もありましたが、「そんな甘いことは言ってられない!」と腹をくくって、様々な誘いを断り受験勉強に専念していました。
しかし、私は以前から寮のイベントの制作委員に入っていました。
その仕事はやらなければならなかったので、受験の合間に制作委員の仕事をこなしていました。
これがちょうどいいバランスで、勉強のリフレッシュにもなるし、みんなと楽しくイベントを作って良い思い出ができました。
受験勉強とイベント作りで気持ちを切り替えながら、留学最後の時間を過ごしていました。
何度受けても上がらないTOEFLのスコアと周りの視線
高3としての最後の1年間の留学の思い出は、「ひたすら英語の勉強」
本当に苦しかったのを覚えています。
「これだけ勉強頑張ってるんだから、いつかは上がるはず!」
という気持ちを一蹴するようなスコアに、胸が締め付けられる日々が続きました。
試験会場に行くたびに、友達や寮の先生に話さなきゃいけないので、それも辛かった。
応援はしてくれるけれど
「あ、また受けるんだ!」
「え!前も受けてなかった?」
「まだやってたの?」
そんな雰囲気を感じ取っていました。
日本とは違い、思ったことは率直に伝える文化もあるので、実際に言葉で言われたこともあります。
もう辛いので、思い切ってその視線や言葉は受け取らないようにシャットアウトしていましたね。
でも現実を見れば、確かに自分はまだ前進せず、同じ場所で立ち止まっている。
友達はもうエッセーを書き始めて、自分の将来のビジョンが見え始めているのに、自分はまだ資格の勉強をしているという状況が、とても苦しかったです。
逆境をバネにやる気に火が着いた!
「ここまできたらやるしかない!」
「何が何でもはやく終わらせてやる!」
そう思えたのは、むしろ周りの応援や視線に冷ややかさを感じたからです。
純粋な応援だったらむしろ、自分も余裕を持ってしまっていたかもしれません。
受験を終えていく周りとの温度差やスコアの停滞も重なってきて
「いよいよこれはヤバいんじゃないか!?」
という状況が、逆に自分を追い込んで目標に向かって突き進むことができました。
チクチクと感じていた周りの雰囲気や言葉は、自分を奮い立たせるための着火剤だったのかな?と今なら感じます。
IELTS受験で変化の兆しが!自分に合う英語試験を見つけた!
受験勉強を始めた頃からずっと、出願スコアはTOEFLと決めて勉強していましたが、なかなかスコアが上がらず悩み、思い切って一度IELTSを受験してみました。
そしたら、対策していないのにTOEFLよりもIELTSの方が点数が高かったんです!
これには自分でもビックリしました。
「もしかして、私にはIELTSの方が合っているんじゃないか?」
そう思い、そこから私はTOEFLを諦めて、IELTSの勉強に変更しました。
私の個人的な感覚では、TOEFLは文法や読解が中心の試験方法で、IELTSはより実践的なコミュニケーション力が必要な試験かなと思います。
たとえば、TOEFLはコンピューターに向かってスピーキングをしますが、IELTSは試験官と直接会話をします。
私にとっては、実際に人と話す方が、より自然なコミュニケーションができる感じがしました。
また、IELTSだとタイマーが見えないので、焦る必要がないという部分も、自分がよりナチュラルな状態で試験を受けられて、結果にもつながったのかなと思います。
「同じ英語試験なんだから、TOEFLの勉強をしていれば、IELTSも点数取りやすいんじゃない?」
と考える人もいますが、それは違います。
もちろん多少の共通点はありますが、英語試験にもそれぞれ特徴があり対策が異なります。
この時期での英語試験の変更は、自分にとっては思い切った決断でした。
しかし、スピーキングを含めて、私にはIELTSの方が向いていると実感したので、この感覚を信じてIELTSのスコアアップに集中しました。
9月受験「全敗」・・・自分の考えの甘さを知りとても悔しかった
英語試験の勉強もむなしく、9月入学用の出願結果は全敗。
これが厳しい現実でした。
でも敗因は一つ。
明らかな準備不足でした。
周りの友達がアメリカの大学進学で動き出した高3の10月に、自分もようやく重い腰を上げて取り掛かりました。
私は中3で英検準1級に合格していました。しかし、SATやTOEFLなどの資格試験も、受験勉強を始めるまで留学中に一度も受けたことがなかったんです。
高3の10月からテスト勉強を開始し、毎月のようにテストを受けましたが、スコアはびくともしませんでした。
日本の大学を受験するなら、高2の頃から取り組むべきだったと今なら分かります。
帰国子女受験はそう甘くはないというのを日々実感することになりました。
9月入学の受験結果は、準備もしていないのに「留学中に受験が終わればラッキー!」という甘い考えが招いた結果です。
12月〜1月に現状のスコアや志望理由書などを各大学に提出しましたが、2月に手にした通知は「不合格」のみ。
「このままではいけない!本気で勉強しなくちゃ!!」
悔しい気持ちや焦りを抱えたままアメリカの高校を卒業、留学生活を終えて帰国しました。
ーつづくー
2024.12.12
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